421944 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

続ひこうき雲1


kenta63
さくらパパさまから
犬太の近況が届きましたわ。
けんた
母さん、お兄ちゃん、お姉ちゃん、みんな元気になってきたね(^^)
毎日、様子を見に行ってるから、よく分かってるよ
弟分の犬太も元気だねえ(ボクも犬太だったから、
ややこしいので弟は「ちび犬(けん)」って呼ぶね)
ボクがこっちに来て、1ヶ月半が経とうとしてる。
それはあくまで、そちらの世界の時間の数え方で、
こちらの世界では、1ヶ月も10年も同じくらいに一瞬なんだよ。
今日は、ボクとちび犬のことについて、話を聞いて欲しいんだ。

ボクは毎日バイクに乗って、こないだまで住んでいた母さんちへ、
みんなの様子を見に行ってた。
だって、ボクがこっちへ来てからボクの家族はみんな沈んでしまって、
心配で仕方がなかったんだ。

 母さんは、これではいけない、
なんとかこの沈んだ空気を換えなければと考えては見るけど、
見ること聞くこと全てにつけて、すぐにボクを思い出し、
泣いたり笑ったり、挙げ句にぼんやりしている。

 お兄ちゃんは、毎日ボクの写真を飾ったこたつで寝ていて、
ボクといっぱい遊んだことを思い出しては、落ち込んでる。
以前のようにあまり笑わなくなった。

 お姉ちゃんは、一生懸命仕事をすることで、
寂しさをまぎらせようとしているみたいだ。
 そして、母さんは、撮りためたボクの写真をホームページに載せて、
ボクの思い出をたどりながら、
ページ仲間と手を取り合って行くことで、元気を取り戻そうとしてた。
でも、母さんは、ボクがいた頃のように、
家族全員で笑い転げたりすることが、もうないかも知れないと、
どこかやり切れない気持ちを持ってるようだった。

ボクは、いつも家族がボクのことを思っていてくれることが分かり、
うれしかった。
でも、みんな、ボクのことばっかり考えて、本当はみんなの周りに
いっぱい転がっている幸せに気付かず生きていることが、
とてもかわいそうで、なんだかすまない気持ちがしていた。

ボクは、もといたお家に向かう時は、ルンルンで、
バイクからも真っ直ぐなひこうき雲が出るんだけど、
みんなの顔を見たあと戻る時はどうしても気持ちが沈んでしまい、
ひこうき雲もとぎれとぎれだった。


<続く>



© Rakuten Group, Inc.